Clip音について

【Reason Tips】Clip音


図 Sin(-90°)のアタック部分の波形


Clip音とは、正弦波などの波形を急に出したときにおこる「プチッ」というノイズです。
いわゆるTR-808のKick等では、アタック感を出す為に必要不可欠なノイズです。


Clip音が邪魔な場合は、AmpエンベロープのAttackを十分に大きくとってあげればOKです。
逆に、Clip音を有効に使いたい場合は、AmpエンベロープのAttackを最小値にすればOKです。


しかし、SubTractorはAttackのパラメータを下げても、波形の立ち上がり速度に限界がある為、
Clip音は殆ど鳴りません。シンセでClipを使いたい場合、Thor、Malstromを使うと良いでしょう。

【Reason Tips】Clip音と位相

Clip音は波形を急に出したときの波形の段差(上図の赤丸部分)が原因で起こるノイズであるので、
正弦波で位相が0°の場合、段差がない=Clip音が発生しないことになります。また、段差の大きさ=Clip音の音量である為、発音時の位相が異なるとClip音の音量も異なります。


もし、後述のThorのAnalog Oscのように位相が初期化されないものを用いて、Clip音を作ると、
Clip音の音量が不安定になり、Mix、Masteringがし辛いばかりか、
聞いているほうにとってもあまり心地よいものにはなりません。
(無論、不安定なClip音を効果的に用いた音色であるなら話は別ですが。)
*1

とにかく、いつ発音しても位相が変わらなければ(発音ごとに位相が初期化されれば)、
そういった心配をする必要はなくなるわけです。


Malstromに関しては2つのオシレーター共に、発音ごとに位相が初期化されるようです。


ただし、Thorのオシレーターは発音ごとに位相が初期化されるもの(Wavetable Osc,FM Pair Osc,
Phase Mod Osc等)と、されないもの(Analog Osc,Multi Osc)があります。
また、Noise Oscには位相という概念はないのですが、
出音がランダムな為やはりClip音も不安定になります。


808KickなどのClip音を使って音を作るときは、
必ず位相が初期化されるオシレーターを選ぶとよいです。

*1:注:ただし、TR-808実機などでは位相のずれによるクリップ音の変化が、一つの「味」として認識されることもあるようなので、一概には言えないのかも知れません